待ち合わせ その1

クリスマスが近づくと、毎年頭のなかで鳴り出すのが、「山下達郎・クリスマスイブ」。
僕の学生時代の想い出と重なって・・・



携帯電話を持ち歩くようになった現在では、こういうことはなくなったと思うが、学生の頃は一般向きの携帯電話はなく、「待ち合わせ」にまつわるドラマがあった。
東京では「ハチ公前」などのランドマークが、その場所なんだろうが、僕もいろんなところで、時間を確認し待ち合わせた。

ほとんど先に着いて待っていることが多かったが、今でも鮮明に覚えている学生時代の不覚がある。

僕は、自宅から1時間ほど電車とバスを乗り継いで、4才から1人で幼稚園に通った。
幼稚園の決まりで、初日は園の玄関まで、2日目は階段下まで、3日目はバスのりばまで、4日目は電車乗り場まで、5日目からは自宅から一人で通わなくてはならなかった。

4才での幼稚園登校開始2日目、幼稚園の前の長い階段に、蛇がいた。
それが怖くて、階段の下まで送って来た母にヘルプを送った。
母は「怖くないから、行きなさい」と言うだけで来てくれなかった。
その時、先に蛇をクリアした女の子が、僕のとこまで下りてきて、僕の手を取って蛇をクリアさせてくれた。
単純な僕は、卒業するまで園内の副番長である彼女が、僕のヒーローだった。

阪神間の広域から、園を運営する法人の教育(婦人之友という主婦雑誌を発刊する羽仁もと子主催)に賛同する母親の子ばかり集まる私立の幼稚園だったので、母親同士が仲の良く、毎年同窓会が行われていた。

ずっと顔つながりが続き、どんどん可愛くなっていき、彼女をヒーローと見るより、女の子と見るようになった。
年1回の同窓会が楽しみだった。
中学受験をして電車中学が始まったある日、その子を、通学電車の乗換駅で見かけた・・・ような気がした。
それから毎日注意していると、間違いない。
僕が、すれ違う彼女をじっと見ていると、彼女もそれに気づいて、「そうだよね、・・組んだよね」って、少しはにかんだ微笑みを持って、僕に声を掛けてくれた。

ずっと片思いの子に会える幸運で、学校に行くのが楽しかった。
お互いの中学・高校の文化祭には、チケットを交換し、僕も女子校行ったし、彼女も友だちを誘って、僕の通う男子校に来てくれた。
好きなんだけど、東京だったら必ずモデルにスカウトされるだろう美少女で、綺麗な日本語を喋り、お金持ちのお嬢様なのでいつもお洒落していたから、デートになんて誘えなかった。

そんな僕も大学生になり、それなりに経験を積み、母校グリークラブの神戸講演に誘った。
僕なんて、彼女にとっては結婚相手の箸にも棒にもかからない存在だと思ってたので、一生に一度の長期片思いの集大成デートと思い、勇気を出したが、あっさりOKしてくれ嬉しかった。

その日はヨット部のシーズンオフでしたが、レース艇の整備日で艇庫に行っていた。
昼前に終わるはずだったのに、誰かの船の整備が遅れているので、解散が延び延びになった。
タイムリミットが迫り、ギリギリのタイミングになってしまい、キャプテンに早退を申し出た。

なんとか許してもらい、車に飛び乗りスーツに着替えたが、何とチケットを自宅に忘れたことに気付いた。
慌てて自宅に取りに戻り、神戸の会館に急いだ。
車を駐車場に入れる余裕もなく、待ち合わせ30分遅れで、待ち合わせ場所に着いた。

そしたら彼女がいない。
チケットを渡していないのだから、先にホールに入っているはずもない。
待ち合わせた花屋さんに、彼女のことを聞いたら、このお店で花束を購入し、ずっと待っていたとのこと。
「さっきまでいたよ」、僕と入れ違いになったようです。
電車の駅まで走っていったが、会えなかった。

先にチケットを渡しておくべきだったと反省しながら、車を飛ばして彼女の家に向かった。
ベルを押すと、彼女のお母さんが出てきた。
昼食を母親が当番でやってきて作る幼稚園だったので、僕を4才の時から知っている。
お母さんに遅れてしまったことを謝り、彼女に直接謝りたいと申し出たが、「娘は泣いて帰ってきて、自室に入ってしまった。とても今日は見せられる顔ではないので、お引き取りを・・・。また誘ってあげてね」と言われてしまった。
しばらく自宅前で、彼女が出てくるかもしれないと待っていたが、失意のうちに帰宅した。
今までの人生で最大の「待ち合わせ」失敗です。

後日彼女に会い、しっかり謝ったが、もういつもの彼女に戻っていた。
その後、ヨット部の試乗会に友だちを連れて来てくれたり、スキーツアーにも参加してくれた。
彼女に誘われ、ダンスパーティーに行ったこともある。
友達と喫茶店にいると、彼女がデート中の相手を伴って、「・・君、元気?こないだ車ですれ違ったよ。横に彼女を乗せていたから、追いかけなかったけど・・・」なんて、明るく声を掛けてくれたこともある。

今でも変わらぬ、年賀状やメールをやり取りする大切な友人です。
彼女はその後、大阪で有数のお金持ちの家に嫁ぎ、僕が想像していたような彼女になっている。
社交的で英語も達者で、美人で言葉が美しく、何処に出しても見栄えのする奥様です。
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