3/20・女の子の涙

この日の第1レース終了。
フィニッシュ後コーチボートに横付けする選手に、感じたことを話す。
ブローの入り具合がコーチボートから見て感じたままなのか、選手の感覚ではどうだったのかすり合わせ、リセットさせて次のレースに送り出す。

第2レース終了も同じでしたが、ジュリー(審判員が乗る)ボートがやってきて、「沈艇がおり、乗員の体力がなくなってきたので、交代して船を起こしてもらえないか」と要請があった。
冷えてしまった選手2人をこちらに乗せ、風の当たらないコクピットに入れ毛布を渡す。
顔色は正常なので大丈夫だと思い、沈艇レスキューを優先する。

ウェットを着ていた交代要員選手と、今年卒業したばかりの選手にウェットを着せ、沈艇を起こし、曳航用ロープを渡し、曳航してハーバーに戻った。
体力消耗した選手の様子を知ろうと話しかけると府立医大ヨット部の2人でした。
助けてもらって恐縮していましたが、人命優先だし所詮余暇なので恐縮する必要なんてない。
「僕だって寒冷前線通過でしばらく海上で沈したヨットとともに2時間ほど漂流し、助けてもらったことがある」と話すと、幾分表情が明るくなった。

レース海面に戻り、Sくんを予定通りの交代をさせると、メインセイルがおかしな形状になったレース艇がリタイヤして近くに来ました。
ブームが折れてしまったようです。
このままではメインセイルが破れてしまうので、大声ですぐにメインセイルを下ろすように指示する。
慌てて降ろしていたが、破れてしまっては大損です。
その学校のコーチボートがやってきて、そちらに任せます。

さてレース展開を見ようと思ったら、リタイヤしたレース艇が手を振ってやってきます。
「ラダー(舵)を折って、航行不能になった艇がいます。ヘルプを」
コーチボートはレース海面に入ってはいけないルールになっているので、ドライブしてる1回生女子マネージャーが、「どこを走っていけばいいですか?」って聞いてきます。
「真っ直ぐレースコースを横切ったら良い」と指示し、一目散に航行不能レース艇を探します。

東北大学ヨット部艇で、メインセイルを下ろすことを指示し、ジブセイルも巻けと指示しますが、そういうことをしたことがないようで手間取っています。
ジブはそのままで、曳航ロープを受け取り、ハーバーバックします。

ちょうどハーバーとの間にレースコースがあり、続々とレース中のボートが走っています。
ドライブしているマネージャーが「どこを通ったらいいですか」と、爆走しているレース艇集団に顔が引きつっています。
ドライブを交代しようかと思いましたが、ここはいい経験になると思い任せることにしました。
横について、スロットルの開け閉めとステアリングを指示します。

2回生1・1回生3人のマネージャーが乗っているので、同じマネージャーがドライブする方が、自分たちの自信になるだろうし、経験も話せます。
「大丈夫、真っ直ぐ行こう」
「スロットル上げて」「下げて」
「もう少し右」
「よしここにスペースがあるから、あの艇と次のあの艇の間を抜けるよ」
「はい今スロットルオープン」・・・・無事レース艇に進路変更などさせずに通過出来ました。

「よっしゃ~、もう通り過ぎたから、マイペースでハーバーに向かおう。よくやったね」と、ポンと背中を叩きました。
しばらくしたら、運転席横のコクピット外にいた2回生マネージャーが、「え、え~」って運転席を覗き込んでいます。
ドライブしてる子を見ると、「ホッとしました」と、ちょっとうつむき加減で半分笑顔の頬を涙が伝ってる。
「可愛い」、女の子の涙は最強だわ。

「しまった、レベルの高い緊張場面を強いてしまったかな?」
まあ、鍛えられたでしょう。
皆の生命を守るレスキュー艇ドライブは、マネージャーの重要な仕事です。
レベルアップしたね。
ひょっとして、僕が背中をポンと叩いたから?
あ~、僕も罪深い、また女子を泣かしてしまった。

ティーンの女の子の頬の涙を見た時、大学を卒業して僕が就職で東京に旅立った時の新大阪駅のホームを思い出した。
付き合っていた頃の家内が見送りに来てくれていた。
楽しそうに話してたのに、新幹線が来たので、「また電話するね」と家内をハグした時、家内の頬を涙が伝った。
可愛い!
「東京にはたくさん綺麗な人がいるから、私のことは忘れてしまってもいいよ」、なんて言い出しました。
「忘れるわけないじゃん」、結婚の約束はしていたけど、家内の涙を見た時、「この子を悲しませたら男として失格だ。生涯愛し続けなきゃ」と強く思いました。

真横でドライブするマネージャーの涙を見なかったことにして、反対側のコクピット横で風が強く波が高い湖面を疾走した関係で髪まで濡れているマネージャーに、窓を開け「濡れた髪が色っぽいよ」と、イタリアーノな軽口を叩きます。
ドライブしたSマネージャーは、1人で反芻しているでしょう。
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